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恋は諸行無常。

音楽、ナンパ、思想

予備校へ行こう②

読み物系

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恋愛とはただ性欲の詩的表現を受けたものである。

少なくとも詩的表現を受けない性欲は恋愛と呼ぶに値しない。

 芥川龍之介

 

 

『いいですよ。』

 

 

そして何故か講習の最終日、俺は告白されてしまった。

断る理由もなかったのでとりあえずOKしたと

友人には話したが、内心気持ちは高ぶっていた。

 

 

自分で言うのもなんだが顔は悪くないと思うし、

当然だと思っていた。どこまでも自信過剰だ。

 

 

自習室が閉まり、俺たちは二人で帰っていた。

俺は彼女を公園に誘い出し、キスしようとした。

 

 

『ダメ』

 

何故なのか。俺たち付き合ってるんだろ?

 

『まだ早くない?』

 

早くない。むしろ遅い。

強引にキスをしてやった。

 

『ダメだって』

 

怒られた。何を考えているのか全く分からない。

なんで付き合っているのに拒否される。

 

その日はその場で解散した。

 

 

初めてのキスはかなり興奮した。

唇は柔らかくて、何より彼女の恥じらう姿が何とも言えなかった。

女子という生物を初めて知ることができた気がした。

なんてか弱いんだ。

 

 

大して気は無いはずなのにLINEの返事が遅いと

気になって仕方がない。

 

 

次会ったら胸くらいは触れるだろうくらいに

思っていたがガードが更に硬くなっていた。

 

 

『私のこと本当に好きなの?』

 

好きになろうとしている。

 

『好きだよ』

 

 

『どこが?』

 

 

『全部』

 

 

なんと答えればいいのか分からない。

 

 

『嘘でしょ』

 

 

彼女の気持ちが離れていくのが分かる。

それ以上は何も言えなかった。

 

 

その日も次の日もLINEの返事はなかった。

だんだん不安になってきた。

 

電話してみた。

 

『何?』

 

『何しているのかなと思って』

 

『何もしてないよ』

 

『ああ、そう』

 

何をしゃべればいいのだろう

 

『ご飯でも食べよう』

 

『…いいよ』

 

 

 

 

 

 

 

御茶ノ水駅で集合して神保町のほうに降りていくことにした。

一度も入ってことはないが気のきいたレストランが何軒が

あったはずだ

 

彼女は終始俯いている。

が突如口を開いた。

 

『例えばずっと信じてたものがそうじゃなかったらどうするよ』

 

言っている意味が分からない。

 

『何だって』

 

『どうするよ』

 

何か打明け話でもあるのだろうか。

彼女と離れたくないから否定的な回答は控えよう

 

『びっくりすると思うけど、何かあったの?』

 

『別になんでもないけど』

 

『ああそう』

 

彼女は、綺麗だ。

きめ細かい肌にアーモンド状の大きな目、

華奢な体躯が気になるのかいつも体のシルエットが

隠れるような服装をしている。

 

店を出て、手を繋いだ。

真夏の東京も太陽が沈むと意外と過ごしやすい。

ほんのりと彼女の体温を感じながら、静かな

通りを歩いた。

彼女の腕は前よりも更に細くなっていたが、

その時はそこまで気に止めなかった。

 

小さな通りを抜けて大通りに差し掛かった時、

体全体に強い衝撃を感じた。

一瞬視界に黒い車体が目に入ったが次の瞬間、体は5メーターほど

宙を舞い、俺は地面に叩きつけられた。

 

 

生きている。

呆れるほど、俺は無事だった。

 

ー横を見るとさっきまで笑っていた奈々が血を流して倒れていた。

 微動だにしない。

 

彼女のもとにかけより、体を抱いた。

鼓動はゆっくりと続いている。

 

ーと同時にこれまで彼女に感じていた違和感の正体が分かった。

 

幸い、彼女の身体に異常はなく、大事をとって1日入院しただけで翌日から

いつもの暮らしに戻ることが出来た。

 

 

が奈々は俺を避けるようになった。

 

 

というか一切連絡がとれないし授業は被っていないので

自習室で見つけるくらいしか方法がない。

 

 

予備校が終了する時間に入口で待ち伏せていると

うつむきながら彼女が出てきた。憔悴しているようにも見える。

 

 

『あ』

 

 

彼女は俺を一瞥して認識すると一目散に駅に走り出した。

が途中で何もないところで転んだ。ドラマか。

 

 

痛くて立ち上がれないようだ。

彼女の手を取った。

 

 

『離してよ』

 

『話してよ』

 

『嫌だ』

 

『何で連絡してくれいなわけ』

 

『…』

 

『説明しろよ』

 

『…』

 

 

『…私、女じゃない』

 

 

俺は答えた。

 

『…知ってる。』

 

奈々は、泣いていた。

 

終わり

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ありがちな恋話から離れたくて彼女を性同一性障がいの男に

してみたんですが、対して面白くなりませんでした。