恋は諸行無常。

音楽、ナンパ、思想

信じることなんて辞めてくれという話

 

営業を辞めないパチンコ屋に突撃した市長がいるらしい。

市長はパチンコ屋に到着すると営業辞めてくださいと書かれた紙を店長に渡し、店長は「本部に確認します。」と告げ市長の要請は無事無視された。

 

自治体の長は有権者の信頼を獲得しなければ再選されないので人気取りのパフォーマンスとしては優れていると思う。コロナウィルスに怯える市民達にとって彼は戦地に身の危険を犯して国を守る英雄に見えたかもしれない。

 

一方で政府の自粛要請はあくまでお願いであって従わなくても法的に問題がないから営業停止可否は経営者の判断に委ねられる。経営者はある意味ブルーオーシャンの現況で営業続行すれば戦時特需的に売上を増加させられるメリットと社員の感染及び顧客の信頼失墜リスクを天秤にかけて決断を行う。結果パチンコ屋は営業を続けた。

 

話が通じない人間なんてそこら中に存在している世界で、美しい理想論を大声で叫べば分かってくれるはずという市長の発想がユートピア的でリアリズムに欠けると感じた。有史以来戦争が無くなった時代がないように我々は今までもこれからも分かり合えないのだから言う通りにしない人間に直談判したって心変わりさせられる訳がない。直接書類渡されてもね。。

 

事ほど左様に日本では性善説が過ぎる。正義や道徳で世界を変えるという気骨は見上げたものだが根性論で旧日本軍がどれだけ犬死にさせられたかは忘れられているっぽい。どうやら少年漫画を読みすぎてしまったようだ。

 

例えばスウェーデンのルンド市は市民を公園に寄せ付けないための対策として、鶏糞(けいふん)肥料1000キロを市内の公園に散布した。こうすれば市民は公園に行く気が失せるし植物に栄養が行きわたる。こういうクレバーな政策が日本ではどうして生まれないんだろうか。日本では21世紀になっても体育会偉い根性尊いの筋肉バカが愛される。

 

www.cnn.co.jp

 

耐えがたい苦境に直面した時にとにかく我慢しろと精神論を繰り返すリーダーに自分は幻滅する。我慢することは全然美しくないし、ましてそれを押し付けないで欲しい。足使わなくていいから頭使ってくれ。信じることなんて辞めてくれ。

 

和訳 The Rolling Stones-Living In A Ghost Town

 

f:id:seenewworld8:20200425080002j:plain

www.youtube.com

I'm a ghost

Living in a ghost town

I'm a ghost

Living in a ghost town

俺は幽霊

ゴーストタウンに住んでいる

幽霊さ

ゴーストタウンが住処

You can look for me

But I can't be found

You can search for me

I had to go underground

Life was so beautiful

Then we all got locked down

Feel a like ghost

Living in a ghost town

俺のことを探してもいいが

多分見つけられないだろう

調査するのも自由だ

俺は地下に潜る羽目になった

人生はとても素晴らしかったが

その後俺ら全員ロックダウンされちまった

幽霊みたいな気分だ

ゴーストタウンに住んでんのさ

Once this place was humming

And the air was full of drumming

The sound of cymbals crashing

Glasses were all smashing

Trumpets were all screaming

Saxophones were blaring

Nobody was caring if it's day or night

かつてここは活気があった

全開のドラム音

シンバルがクラッシュする音

グラスが全部割れたり

トランペットはキリキリ鳴り響いて

サックスもけたたましかった

そんなことが日夜でも誰も気に留めなかったのにな

I'm a ghost

Living in a ghost town

I'm going nowhere

Shut up all alone

So much time to lose

Just staring at my phone

俺は幽霊

ゴーストタウンに住んでる

どこにも行くことはない

独りぼっちで静かにして

超無駄な時間

電話をぼーっと見つめてるんだ 

Every night I am dreaming

That you'll come and creep in my bed

Please let this be over

Not stuck in a world without end

毎晩夢を見る

君が俺のベッドに忍び込みに来る夢だ

もう終わりにしてくれないか

終わりのない世界から抜け出せないのか

I'm a ghost

Living in a ghost town

You can look for me

But I can't be found

俺は幽霊

ゴーストタウンに住んでいる

俺のことを探してもいいが

多分見つけられないだろう

We're all living in a ghost town

Living in a ghost town

We were so beautiful

I was your man about town

Living in this ghost town

Ain't having any fun

If I want a party

It's a party of one

俺達全員ゴーストタウンに住んでいる

ゴーストタウンの住人さ

皆とても美しかった

この街じゃ俺は君の男だったけど

今じゃゴーストタウンに住んでる

何も面白いことがない

パーティをしようにも

1人きりのパーティさ

 

この曲はうちで踊ろうとか、手洗いを徹底しようとか、マスクをしようとかそういう呼びかけではないし、コロナウィルス蔓延の困難を協力して乗り越えようというような鼓舞するようなメッセージもない。ロックダウンされて誰も居なくなった街と自宅に押し込められてしまった閉塞感を即物的にブルースに乗せて淡々と歌ったそれだけ。

 

歌っているのはコロナで外出れなくてつまらねーつい最近まで連絡を取っていた女とも会えねーとただそれだけなんだけど、大衆の心情を的確に掴み取ってユーモラスにそれでも確かに芸術にしてあっさりと表現してしまっているところがとてもしっくりくる。なんか腑に落ちる。いい曲です。

 

アポロXXX

f:id:seenewworld8:20200422134747j:plain

We choose to go to the moon .We choose to go to the moon in this decade and do the other things, not because they are easy, but because they are hard.

我々は月に行く。この10年で我々は月に行くだけでなく多くのことを成し遂げる。容易だからではなくそれが困難だからだ。 ジョン・Fケネディ

 

月面に着陸したアポロ11号のCPU処理速度は初代ファミコンの十分の一以下だったらしい。人類はオンボロ機械で38万km先の天体に到達してしまった。しかも現在から半世紀も昔の話だ。

 

そもそもケネディが月に行くなんて荒唐無稽なことを言い出したのはソ連が先駆けて有人宇宙飛行を成功させたから悔しい以外に明確な理由はない。月に行く演説はとてもエモいがじゃあなんで月に行くのかについては全く不明だ。

 

南米のマト・グロッソインディオ達はジャングルの中を歩いていて何かを見つけると、その時点では何の役に立つか分からないけれど、「いつかなんかの役に立つかも」と考えて袋にいれて残しておく習慣がある。

 

そしてこの「よくわからないもの」が後で自分たちの危機を救うようなことが実際に起こるため、彼らの中でこのその瞬間には何の変哲もないが後々自分たちの役に立つと何となく思われるものを収集しておくという摩訶不思議な能力は重要視されているという。

 

ケネディアポロ計画をぶち上げたとき多くの国民から「日々の生活にも困っているのに白人は宇宙に行って莫大な税金の無駄遣いをしている」と批判されたし、墜落事故で何人もの宇宙飛行士の命が失われた。

 

しかしケネディには見えていた。特にこれと言った理由はないが「なんとなくやっとかないといけない気がする」で開始した宇宙事業はその後の先端科学分野で多くの貢献をすることになる。

 

例えば今では当たり前のICU(集中治療室)の発想はアポロ計画から生まれた。患者の生命に危険が生じた場合それを即座に遠隔の医療チームに知らせるシステムは宇宙飛行士の生命を守るために誕生した発明だ。それだけでなく宇宙開発は電子工学、遠隔通信、統計学等にも計り知れない影響を与えている。

 

何かを始めるときに多くの人は『それに何の意味があるの?』に対する確固たる理由を先に探そうとする。これは当たり前のことだけれど半分正しくて半分間違っている。

 

世の中には『なんかよくわからないけどとにかくやりたいこと、理屈では説明出来ないけれど直感でやっておいた方がいいと感じるもの』も存在していてこういう取るに足らない動機から世界が変わる事がある。

 

この先どうなるかなんて誰にも分からないけれどなんとなくやってみるには想像を遥かに超える可能性がある。アポロ11号が現代のおもちゃ以下の機械で月に到着したようにこの世界では奇跡としか言いようがないことが起こる。

 

ことケネディにも欠点があった。奇跡を起こし過ぎてしまうことだ。伝説の美女マリリンモンローと浮名を流し、アポロ計画を立ち上げ、キューバ危機を解決したが月面着陸の瞬間に立ち会うことは出来なかった。彼は暗殺されこの世を去っていた。46歳だった。

 

奇跡にもいろいろある。

ゴミ人間と蜘蛛の糸

f:id:seenewworld8:20200421164811j:plain

おしゃべりな人から沈黙を学び不寛容な人から寛容を学び不親切な人々から親切を学んだ

ハリール・ジブラーン(レバノンの詩人)


底辺工業で働けば働くほど勉強になるのは本当にその全てが間違っているからだ。


コロナ騒動が始まり底辺工業は存在しない問題について多大な時間を費やすようになった。なし崩し的に始まった在宅勤務で真面目に仕事しない人間をどう管理するかということだ。


彼らが気にしているのは社員がパソコンに張り付いているかどうか。業務をスムーズに処理しているかではなくパソコンが常にオンラインになっているかどうかについて異常な執念を持って監視するようになった。


誰にでも出来る仕事に過大な価値を無理やり見出そうとし自分たちの仕事を重大で大きな責任を伴うものと見当違いな解釈をする。誰もトラブルを起こしていないのにこいつらが真面目に働くわけが無いと断じて底辺工業は普段書く必要のない日報の提出を求めだした。


底辺工業は社員がサボるのを防止する為と語っているが自宅にいるせいでやる気が出ず電話にも出ずパソコンを一度も開く気が起こらないと言った強者が本当に存在すると思っているのだろうか。


担当者が音信不通になれば顧客は上席と連絡を取り問題はすぐに表面化する。組織で何年も働いてきた人間が自宅では顧客トラブルになるくらいまで業務を放置すると考える根拠は果たして何なのか。自宅で何者かに監禁されていないとそうはならない。


最近では出社する社員はヒーロー扱いされるようになった。今ではオフィスで仕事をすることは在宅勤務でサボっている奴らと自分は違うのだと皆にアピールする手段だ。底辺工業では命の危険を犯してでも仕事をしていると周囲に印象付けたい人が後を立たず、ほぼ毎日出社する人も普通にいる。


底辺工業はただでさえ仕事が遅いのにその上でコロナ騒動に関する業務がのしかかってきてパンク状態になっている。皆冷静さを失い普段言わないような汚い言葉を吐いたり意味不明な指示が飛び交うようになった。底辺工業の最底辺達は心を真っ黒にして働いている。


ああ果たせるかな私は疑り深い人間から信じることの大切さを学んだ。化石人間から変わることの大事さを、心ない人から思いやりの心を学んだ。


泥棒や殺人とあらゆる悪事を働いたカンダタにさえ釈迦は蜘蛛の糸を垂らした。自分だけ助かろうなんて言わないから神様仏様負け犬にチャンスをくれ。

何の価値もない努力は確かに存在する。

f:id:seenewworld8:20200414190933j:plain

ずっとわかっていたんだ

僕のこの命に意味は無かった

きっとこの命に意味はなかった/キタニタツヤ

 

「昔は色々苦労したけどその苦労があったからこそ今がある。」

 

嫌な言葉だ。

 

成功者ならいざ知らずどう見てもダサくて何の実績もない平凡人からこのセリフを聞くと吐き気がする。自分の人生に誠実に向き合っていない甘ったれだなと感じる。その無数の苦労が報われたのであれば何故今の君はそんなに無様なんだ?

 

「苦労は多かったがそのどれもが現在に1つも生かされておらず人生を浪費した。何の意味もない無駄な作業だった。」

 

と自分なら言う。人生バラ色にする為に思いつく限り試行錯誤はしてきたが自分はダメ人間だ。努力は明らかに今現在の自分に結実していない。右往左往して一歩も進んでいないし今のところこの命に意味はない。所詮結果が全てだから端から言い訳したくないし言われる前に自ら負け犬だって叫ばないと正気じゃいられない今日この頃。

 

それでも過去の自分が積み重なった今の自分が終わってるとしても人生に意味はあると思いたい。そんな意地から何の得にもならない苦労にも正当性を見出そうとするのはむしろ自然な感情かもしれない。

 

仕事柄底辺としか仕事をしないが彼らはとても自尊心が強い。目に余るのは負け組の癖にプライドは高くて底辺なのに冒頭のようなことを平気で言うところだ。明らかにモテなそうな男が自慢げに女性遍歴を詐称して語るのと似たような寒気がして心底辟易する。

 

意味のある努力だけしたいけど、その努力が報われるかは努力をした後にしか分からない。自分は色々試してみたけれど今のところそれらは何の価値も無かったと言える。何の価値もない努力は確かに存在するし安易に過去を美化することは成功を掴むことから1番遠ざかることだと思う。成功したことないけど。

 

モテるはセンスで作れない。

 

「あなたが天国へ召されるか地獄へ堕ちるかは生まれた瞬間に決まっています。」

 

思い悩むあなたに目の前の男がこう諭してきたらどう思うだろうか?そうですよねと納得できる人はあんまりいないと思う。世界を救おうが何万人殺そうが神様は何も見ていません、何故なら生を受けたときに救済されるかは決められているのだからという教えは残酷で救いが無さ過ぎる。

 

しかしこの考えはカルトでも何でもなくプロテスタント一派の予定説という教義だ。因果応報(悪いことをすれば地獄に堕ち、良いことをすれば浮かばれる)や輪廻転生(前世で善行を積めば来世で報われる)という仏教を信じる日本人には受け入れがたい思想だが世界は広い。

 

こんな崇高な神学の話を前段に今から色恋の話をする。色恋の話を何故か全く興味がない野球で始める。理由は分からない。

 

読売巨人軍の監督に就任した長嶋茂雄が選手にしたこのアドバイスはあまりにも有名だ。

 

「ボールがスッと来たら、バットをカーンって振ればいい」

 

これを聞いて「なるほどそうか!」と腑に落ちる人間がいたらそれは天才だ。99%の凡人にこの助言は意味不明。スッとかカーンは定義がなく当人の主観に基づく感覚的な表現で再現性がないものだ。

 

このように客観性を欠いた本人にしか説明できない感覚で結果を出してしまう人は一般にセンスがいい人と言われる。彼らは後天的に血の滲むような努力で獲得したのではなく生まれたときからそれを持っている。それを持った人間が本気をだせば成功はもはや自明だ。神は平等に人間を造らない。

 

センスについて我々にとって多分一番身近な話題は多分ファッションで、特に高い服を着ているわけでも外見が優れている訳でもないのに何故か佇まいが様になるような人間はどこにも存在する。それで試しにそいつが来ている洋服をそのそっくりそのまま着てみても全然同じようにならず落ち込む。

 

異性を魅了することも本質は変わらない。どの世界にもいくつになっても理由はわからないが何故かモテるという興味深い人材は結構普通にいるが、それではその魅力は何なのか考えれば考えるほど訳が分からなくなる。

 

何故ならそいつはDV野郎だったりアル中だったり顔面凶器だったりギャンブル狂いだったり何度も浮気しても何故か許される人間だったり最低限の常識すら守れない輩であることが珍しくないからだ。

 

意欲的な変態紳士たちはあらゆる知恵を絞って異性が恋に落ちるメカニズムを因数分解して解き明かそうとしてきたが答えは一向に出ない。PUAメソッドとか恋愛工学を目の色を変えて学び、全力で分析してみた結果の要素を実践してみても努力する非モテは何もしないモテに惨敗する。

 

同じ予算で同じ洋服屋で上下コーディネートしてみてもセンスがいい人、悪い人は残酷なほど歴然とするのは想像が容易いと思う。問題はここからでそれはここで叩きのめされた人間がファッションについて死ぬ気で学んで再戦を申し込んだとしても多分結果はほとんど変わらないということだ。

 

ファッションはセンスによるものが大きく、努力は報われない。華麗な着こなしが出来る人間は何故自分が華麗なのかが説明できない。ファッションはロジックで語れないからだ。(ファッションを論理的に語るYoutuberも知っているが極めて例外的な存在だ。)

 

インスタントにモテるには男の場合金、女の場合容姿だという考えは完全に正しいがこれは表層的なモテの話で今回の内面的なモテの話とは異なる。金持ちと美人は貧乏とブスになればその瞬間にモテなくなるがモテのセンスを持っている人にはそんなこと関係しない。

 

センスの有無が生まれつきであるようにモテるモテないも予め決まっている。

 

これは予定説に他ならない。

 

モテるはセンスで作れない。

 

理由は知らないが現実は見ての通りだ。

 

ゴミ溜めに暮らす少年はお城のお姫様のために泣けない。

f:id:seenewworld8:20200409081154j:image

名前より先にごめんなさいを口癖に

今日まで 手合わせ 生きてきたのに

バカみたい 君を見てると

五月の蠅/RADWIMPS

 

ステージで無邪気に歌って踊る彼ら彼女らの目下には狭いスペースで汗まみれになりながら声を張り上げる有象無象が見える。

生まれたときから容姿端麗で生暖かい環境で甘やかされて育った彼ら彼女ら、ある者は両親の口利き、ある者は道端でスカウトと、何の自発的な努力もしないまま棚ボタでショービズの世界へ。

プロデューサーから各自キャラクター設定の指導を受けた後、人が作った服を着て、人が作った振り付けで踊りながら、人が作った曲を歌う。街を歩けば自分たちが巨大な広告で宣伝されSNSでは絶賛の嵐、中傷されても励ましてくれるファンが何万人もいて、ライブでは感極まって泣き出してしまような信者も多数。

満員電車に乗る下民たちを憐れみの目で見送りながら後部座先に乗り込んでスマホをいじっていれば同世代が絶対に住むことが出来ないような豪邸に到着。少し休んでからタクシーで会員制クラブに向かい仲間たちと散財の限りを尽くす。

アルコールで朦朧としながら目を覚まし恋人とぼーっと時間を過ごした後、マンション下に迎えに来たマネージャーの車に乗り込み、今日のスケジュールを知らされる。仕事場に着き、着替えメイクを済まして気の知れたメンバー達と適当に思いついた話をしてそれだけで大金が口座に振り込まれる。

 

素晴らしい世界。

 

 何の苦悩も挫折もなくただ幸福の列車におもいがけず乗ることができてしまったとてつもなく運のいい成功者たちは何故かこの国ではとても人気がある。

全てを持って生まれてきただけの人間が言われたことをそのままやるだけで絶賛され褒め称えられる世界。何もかも美化聖化され失うことがない完全無欠強者は今日も人生の素晴らしさを説くのです。

 

ああ素晴らしい世界。

アドルフ・アイヒマンと社畜

f:id:seenewworld8:20200325090745j:plain

アレントはヘビースモーカーで有名だった。

1961年4月11日にエルサレム始まったアドルフ・アイヒマンの裁判で世界が驚愕したのは彼がどこにでもいそうな平凡なおっさんだったことだ。

 

600万人とも言われるユダヤ人を強制収容所送りにしたホロコーストの実行者、人類史上トップクラスの処刑人は太々しく悪魔的な雰囲気を醸し出していなければいけないのに目の前の被告人は色白で瘦せっぽち、禿げ上がった頭髪に眼鏡をして、何回見直しても冴えない男。うだつが上がらず誰にもできる仕事を淡々とこなす万年係長にしか見えないのだ。

 

「悪は凡庸だ。」

 

この裁判を傍聴していたハンナ・アレントは当時ニューヨーカーに連載していた「エルサレムアイヒマン」でこう言った。彼女は我々が考える悪人達は高尚な哲学とか思想を備えた存在ではなく、ただひたすら何も考えていないだけの陳腐な存在だと分析した。

 

アイヒマンは裁判で「私は命令に忠実に従っただけ」と繰り返した。上がそう言うからやった。アイヒマンは受動的で主義思想の欠如という点でとてつもなく平凡だった。

 

敢えて言えば彼の非凡性は上層部からの命令を一切自分の頭で解釈することなく言われた通り実行するサイボーグ性だろうか。アレントは巷に溢れるこんな平凡人こそいつでも凶悪な人間に一瞬で変貌してしまう危険な存在であることを明らかにした。

 

だからアサシン部隊を作るならインテリではなとことん無学で無教養な人間で結成しよう。自分の頭で考えない彼らは言われた通りに何でもやってくれるのだ。

 

いや待てよ。一番いいのがいるじゃないか。

 

日本の社畜だ。

 

もし戦争が起こったら品川駅のゾンビ集団と新橋のネクタイ締めた呑んだくれ達を実行部隊にしよう。

 

彼らは殺戮の限りを尽くした後でこう言ってくれるに違いない。

 

「上司に言われたので殺しました。」

 

 

ヘイトおばさんと資本主義

f:id:seenewworld8:20200325072129j:plain

The road to hell is paved with intentions.

地獄への道は善意で敷き詰められている。

ヨーロッパのことわざ

 

オレの名は底辺至。四畳半の荒屋に住み仕事終わりのホッピーだけが生きがいの底辺だ。

 

今日は弊社底辺工業に生息するヘイトおばさんを紹介させてくれ。

 

ヘイトおばさんの仕事は社内風紀の取り締まり。主な仕事は社内の人間の予定表パトロール、行先が書かれたホワイトボードを5分置きにチェックすることだ。予定時間を過ぎても戻らない人間がいるとババアは苛立ち始めそれを誰かに伝えたくて仕方がなくなる。ババア動きます。

 

『〇〇さんてどこ行ったのー??』

 

これはヘイトおばさんのルーティン『周知』だ。ヘイトおばさんは外出者、会議出席者が予定時刻に着席していないと有罪と見なしそれとなくそれをその場の人間に広めていく!理由は外出者が暇を持て余し遊んでいると断定(推定)しそれを憎むからだ!

 

ヘイトおばさんは自分以外の誰かが得をすることが許せない。しかももはや病気なのだがヘイトおばさんは〇〇さんに用事は全くないのにこの発言を日常的にする。

 

ヘイトおばさんは目の前の仕事には興味がなく誰か抜け駆けしている人間がいないかが常に最大の関心ごと。意思決定は感情100%で行われ合理的な考えとは縁がない。例えばヘイトおばさんは直行直帰する人間が大嫌いだ。何故なら外出が一切できない自分にとってそれは羨ましすぎる行為だからだ。

 

ヘイトおばさんはしっかり定時に出社して15分後に外出したり、定時間際に帰社して15分デスクワークをして帰宅するような不合理極まりない仕事の仕方をする人間を愛す。直行直帰で生まれるゆとりの時間がこの方法では最小化されているという点でヘイトおばさんはこれを自己犠牲精神の現れとして尊ぶ。

 

直行直帰しない所謂中抜けはオフィス→外出先→オフィスと道程を踏む為、直行もしくは直帰と比較して時間を浪費しているのは明らかなのにヘイトおばさんは直行直帰を憎む。羨ましいからだ。

 

ヘイトおばさんはサボる人を批判しているだけと表面上真っ当なことを言うが単なる僻み妬みによって合理的な働き方を撲滅しているという点で罪深く会社の生産性を下げる。

 

厄介なことにヘイトおばさんは大体の場合ある程度の社会性と発言権を持っていてそれとなく管理職に脚色した話を耳打ちする。底辺工業はマネージャー陣も須く底辺なのでそれを間に受け直行直帰は原則禁止という全く意味不明な通達が出たりして皆困惑する。

 

ヘイトおばさんが問題なのは本人は完全な善意でやっている事だ。彼女はそれが会社を良くすることと心の底から信じている。ありとあらゆることで無能がやる気を出すとロクなことがない。無能のナイーブな善意が辿り着く先はいつも地獄なのだ。

 

かくして底辺工業の生産性は更に低下、皆不機嫌になってディストピアはより深く暗く染まっていく。ご機嫌のヘイトおばさんは資本主義に逆行していることに気づくはずもない。何故なら無能なので。

 

ヘイトおばさんと縁が切れたらどんなにいいだろう。一流企業が羨ましい。おっす!オレ底辺!

鬱病と天才②

 

f:id:seenewworld8:20200320095759j:plain

A pessimist sees the difficulty in every opportunity . An optimist sees the opportunity in every difficulty. Winston Churcill

悲観主義者は全ての好機に困難を見出し、楽観主義者は全ての困難に好機を見つける。)

 

ウィンストン・チャーチルと言えば多くの人はヤルタでのルーズベルトスターリンとの三巨頭会談の光景を思い浮かべるだろう。猫背で小太りの体型にボーラーハットと葉巻、雄弁で決断力のある英雄。

 

その勇姿を知っている我々からすると彼が鬱病に悩まされていたことは想像が難しい。彼はうつのことを「黒い犬」と呼び忌み嫌った。彼は35歳で内務大臣の職にあった時主治医にこう語っている。「二年か三年の間何もかも光を失ったみたいだった。仕事はしたよ。下院の議場に座ってね。ところが黒い犬が降りてくるんだ」、「急行が通過するときにホームの端に座っているのは怖かったな。船の甲板に立って海を覗き込むのも嫌だった。そこから少しでも動いたらすべて終わりになってしまいそうだった、絶望のほんの二三滴もあったらね。」

 

ちなみにこの時のチャーチルは裕福で権力があり、結婚も済ませ特に不運な出来事は何もなかった。「黒い犬」は彼の気分、状況に関わらず姿を表す魔物だった。

 

一方で鬱の時期が収まっているときのチャーチルは著しく社交的でエネルギーに満ち溢れていた。彼は深夜に猛烈に生産性が高まり政治家として活動する傍ら生涯で43冊もの本を書いている(彼はノーベル文学賞を受賞している偉大な作家でもある)。パーティでは絶え間なく大声で永遠と喋り続け悪目立ちすることも多かった。

 

チャーチルはいわゆる躁鬱病だった。チャーチルの友人ビーヴァーブルック卿は彼を「自信の絶頂に居るかひどいうつの底にいるか」どちらかだったと評し、チャーチルの主席軍事補佐官で軍参謀長であったイスメイ将軍はこう言った。

 

「彼は矛盾の塊だ。何かをものすごく賞賛していたかと思うと次の日にはそれをひどく非難している。天使のような気分にいるか、激怒して荒れ狂っているか必ずそのどちらかでちょうどいい加減でものがないんだ。」

 

チャーチルが「黒い犬」から逃れるのにアルコールを欲したのは当然の流れだった。チャーチルが酒豪として知られているはこういう理由だった。チャーチルがどれだけアル中だったかというと、彼は朝食の後にウィスキーのソーダ割、昼食の時にシャンパン、午後にまたウィスキーのソーダ割、そして午後八時の夕食時にも何種かのアルコールを嗜んだようだ。日本だったら見つかり次第辞職させられる大罪である。

 

驚くべきなのは酒だけでなくチャーチルは主治医からアンフェタミンによる治療を受けていたことだ。アンフェタミンとは覚せい剤である。米国ではメスとかクリスタルとか言われブレイキングバッドで主人公ウォルターが調合しているアレである。ドイツ軍でも配布されており、日本ではヒロポンの愛称で普及していた。当時は世界中がヤクで塗れていたわけだ。チャーチルはアル中でありヤク中だった。

 

チャーチルヒトラーを信奉し軍事費削減を掲げるその他大勢の政治家に異を唱え続けたことにより閣僚から外され、荒れ野の年月と呼ばれる不遇の10年を過ごした。チャーチルの友人ブレンダン・ブラッケンによるとこの時の彼はいつでも「絶望の人」で「私はもう終わっている。」と日に何度も言い死ぬこと毎日祈っていたという。

 

チャーチルは何故躁鬱病を発症したかというとリンカーンと同じく遺伝による可能性が高い。チャーチルの父ランドルフは30代で財務大臣になるエリートでゆくゆくは首相という逸材だったが性格的な問題でそのチャンスを逃している。それは彼がセックス依存症だったことだ。

 

彼は生涯で不特定多数の女性と関係を持った結果梅毒に感染して死んだだけでなく二万ポンドをヴィクトリア時代の「セックスの女神」と呼ばれたコリン・キャンベルに遺産贈与した。またチャーチルの娘ダイアナは精神疾患でバルツール酸の大量服薬により自殺してしまっている。彼の躁鬱病はどうやら生まれつきなのだ。

 

冒頭の一節は楽観主義者であり悲観主義者でもあった躁鬱病患者チャーチルの性格をよく表している。ただ彼は憂鬱に負けることはなかった。『英国で最も偉大な政治家』と評される彼を敗者と呼べる人はいないだろう。

 

チャーチルは不屈の人と言われるがそれは彼が長年心に棲みつく「黒い犬」を飼いならしていたからに他ならない。隙を見せたら自分を食い殺してしまう「黒い犬」に比べたら襲い掛かる逆境など無に等しかったからだ。

 

彼はこう言った。

 

Success consists of going from failure to failure without loss of enthusiasm.

成功は何度失敗しても熱意を失わないその先にある。

 

 

0点の会議に参加した。

 

おっす!オレの名は底辺至。底辺企業で燻る底辺だ!今日はオレが底辺打ち合わせに参加した時の様子を話させてくれ。


都内某日某所。オレは取引先のけろっぴーに呼び出され打ち合わせに参加した。相手は2名フォーリンラブバービーとスーパーマラドーナ田中だ。オレは念のため取引先のカマキリも連れてきていた。

 

登場人物

f:id:seenewworld8:20200318204403p:image

f:id:seenewworld8:20200318204409j:image

f:id:seenewworld8:20200318204430p:image

f:id:seenewworld8:20200318204531j:image

f:id:seenewworld8:20200318204537j:image

 


名刺交換をして打ち合わせ始まる。


『………………』


!!!誰も一言も発しない。大人5人が狭い部屋でのっけから沈黙している。


『……………………お話ししたトラブルの件なんですけど場所はこの辺なんですけど』


粗くプリントされた部屋の見取り図に田中が赤い丸をつける。


『………分かりますかね??』


全くわからない。けろっぴーは困ってオレに助け舟を求めてくる。


『……分かりますか??』

 

『いや見取り図だけだとよく……実際の写真があればよかったんですけどねーー……ひひっ』


『ちょっと自分の携帯に画像あるはずなんでとってきますね…』


田中が出て行った。何故事前に用意しておかないんだろうとは誰も言わない。


『……………………』


誰も話さない。


『お待たせしましt…ちっとなかったです。』


ないのかよ!マスクの中でため息が漏れる。そしてもっと問題なのは打ち合わせが始まって5分経つのに未だに彼らが何をどうして欲しいのかが分からないことだ。何故お前らはオレたちを呼んだのか説明しろよ。とてつもなくイライラする。


『…あっありましt…これですかね』


いやあるのかよ!


『あーなるほど。』


なんか壁が壊れている。


『これをどうしたらいいのかと思いまして…』


壁が壊れたから直したいらしい。それをわざわざ打ち合わせで解決する必要性はどれだけあるんだろうか?壊れた壁の写真をメールして誰が払うか決めれば終わる。こんな全力でどうでもいいことのために一週間前に日程を決めてバカ5人が話すことになった。


オレが絶望を感じるのは地平線より果てしなくどうでも良く、誰にでも解決できる些細な問題を世界の終わりみたいに深刻に捉えるバカと神妙に話をしなければならない瞬間だ。おっす!オレ底辺!


アナログクソ野郎は令和の世にも健在でメール一本で済む用事をわざわざ皆で集合して解決しようとする。オレは会議も電話も大嫌いなので全てメールするキャラでなるべく通している。底辺なりの足掻きだ。


どうしたらいいという発言には自分たちは支払いたくないという意味が言外に含まれている。でもそれは言わない。言わないけど相手に払えとまで言う勇気がないから田中はどうしたらいいかと言い方でこちらの出方を見ている。


『そうですねー…状況が分からないのでまずそれを確認してからになりますね…』


けろっぴーは一応一流大を出ているからまともな事を言う。そりゃそうだ。一介の担当者が費用負担についての決断をこの場で出来るわけがない。上司を連れてくれば良かったかが田中が事前に趣旨を説明しないから権限のない人間だけが来てしまった。


『………』

 

田中もバービーも口数がとても少ない。意味が分からないのはわざわざ人を呼び出しておいた側がイニシアチブを取らず会話を相手に任せていることだ。主体性が全くない。あえて沈黙して相手に喋らせるという手口があることもオレは学習してきたのでこういう時に下手に喋らず無口で通す。


理想の進め方はこうだ。田中が開口一番こう言えばいい。


『今日はわざわざありがとうございます。議題は壊れてしまった壁の修繕を誰が行うかです。私はこう考えています。あなたの意見はどうですか?』


最初に問題の提示、続いて田中が意見を述べ、その後相手の見解を確認、最終的に誰が支払うかを決める。それがゴール。


うんざりすることにオレの会社底辺工業で行われる会議のほとんどはこのバービーと田中のケースに近い。会議の冒頭で問題点は何かそれをどうすることがゴールかが全く示されない。参加者は招集者が永遠と垂れ流す感想を黙って聞き彼は何を問題点と捉えていてどうして行きたいと思っているのかを予想しなければならない。


問題点がクリアにならないのと偉い人を怒らせてはいけないのとが相まって参加者は落とし所が分からず結果沈黙する。長い沈黙を経てやがて時間になり何も決まらないまま解散する。疲労だけが残る。


『………』

 

沈黙はまだ続いていた。けろっぴーが圧力に耐えきれず話し出す。


『一旦この壁の修理費用を弊社、御社どちらで払うのか決めないといけないかもしれないですね…』


『ウチの場合は分かりましたですけど御社の場合どれくらいかかりそうですか?』

 

『一ヶ月くらい手配にかかるかもですね…』

 

『至急できない感じですか?』


バービーが責め立てる。オレは頭を抱える。底辺工業でよく見る光景!底辺の打ち合わせ!


何故至急案件についての打ち合わせがセッティングから一週間後に行われるのか全く理解できない。本当に至急なら何故彼女は一週間前にその旨共有しなかったのか謎である。


バービーは自分のせいで対応が一週間遅れたことには全く気づかないまま上機嫌で責め立てた。


それ以降も状況についての感想を各自が述べる女子会のような状態が続き、


『それでは今日あったことを持ち帰って再度ご連絡いたします。』


結局何も決まらなかった。


『………』


皆身動きせずじっとしている。

帰らないのかよ!


最後の一言を述べても誰も帰らず沈黙のまま席に座って下を向いているのは底辺会議あるあるだ。何回も経験した。


いい大人なのに始まりも終わりも誰も宣言出来ない。今までずっと誰かの指示を待つだけの人生を生きてきたから能動的に行動することがない。


『…御社コロナの影響はありますか?』

 

けろっぴーは沈黙に耐えられず話し出す。オレは帰りたいから速攻で荷物を鞄にしまったのに…


『リモートワークうち出来なくて…』

バービーが嘆く。


リモートワークの可否は今では企業の優劣を判断するリトマス紙になりつつある。無能な会社はリモートワーク出来ない。出来ないというのは出来るのにしないという意味だ。底辺企業にはその方法を考える脳みそがまずなく、ましてそれを全社方針にして実行する力など持っていない。オレが勤める底辺工業は当然ながら時差出勤、リモート完全非対応だ。


『ご案内します…』


田中が項垂れるような歩き方で案内してくれる。生きる喜びを全く失ったゾンビのような歩き方。ラッシュアワーの品川駅のウォーキングデッドよろしく彼も日本のありふれた社畜だ。


!!


と、横にカマキリがいた。彼は一言も発せず会議室と同化していたのだった。カマキリは無表情で虚空を睨んでいる。


0点の会議に参加してまた1日を棒に振った。なんて情けないんだろう。おっす!オレ底辺!

 

 

鬱病と天才

f:id:seenewworld8:20200318193212j:plain

メランコリーな人の多くは芸術的で創造的であるというのはよく知られている。映画でも漫画でも天才は常に破天荒で非常識な人物として描かれるし実際のところそうである。

 

そのような病める天才達は多くの場合孤立主義でアーティスティックな面でのみ活躍する思われがちだがこれは実際のところそうではない。メランコリーな天才は政治、実業の世界でも頭角を表す。今回はそんな天才の話だ。

 

エイブラハム・リンカーンは「人民の人民による人民のための政治」を宣言したゲティスバーグでの伝説的な演説と南北戦争終結させ奴隷解放宣言で黒人奴隷を廃止したことで名高く、米国のアカデミックで歴代最も有能な大統領は誰だったかという投票では建国の父ジョージ・ワシントンと競って大体トップになる偉人である。

 

ごく最近までこの輝かしい業績を汚すとして彼が何度も自殺未遂を行ったほど重度の鬱病だったことはあまり語られてこなかった。

 

彼は自殺についての詩を書いているしサンガモ川に入水自殺を図ったこともある。リンカーンは恩師ウィリアム・グラハムに「自殺してしまいそうになることがよくあるんだ」と語っていたり、自分の銃を持って森の中をひとりで呆然と歩き回って周囲の村人に見張られていたりした。いつ自殺するか分からないので近所の友人たちは彼を何度も介抱しなければならなかったという。

 

鬱病の最初の発作は恋人の死後、二回目は求婚して断られた後、三回目は結婚直前と全て女絡みでリンカーンはあの長身と決断力に満ちた顔つきからは想像もつかないほど繊細で乙女だったようだ。

 

彼が憂鬱なのは虐待を受けたからでも両親に早世されたからでもなく生得的なところが大きいとされている。生まれつきそういう気質なのだ。リンカーンの父も大叔父も皆病んでいた。

 

32歳で州議会議員になったころには主治医に完全に狂っていると診断され彼は1841年にこう記した。「今や私はこの世の人間のなかで最もみじめな人間だ。もし私の感じていることがそのまますべての人の家庭に伝わっていったとしたら、この地上に晴れやかな顔をした人など誰もいなくなることだろう。よくなるのかどうか、私には何とも言えない。たぶんだめだろうという気がする。このままの状態でいることなんて無理だ。死んでしまうか、よくなるか、どちらかしかないんだ。そんな感じなのだ。」

 

ひどい鬱には効能もある。それは冷めきった徹底的な現実主義の思考回路である。これは抑うつリアリズムと言われ鬱病患者は悲観的なのではなく世界をより正確に認識しているという考えがある。

 

正常な人は自身について実際よりも2割程度過大評価をしているらしい。一方で鬱病患者は正確に自信を評価するため一般人からすると悲観的だと思われやすいと言われている。つまり正常な人ほど狂った自己認識をし、狂った人ほど正常に自己認識しているのだ。

 

正確な現状把握は適切な対応を生み成功に繋がる。

 

奴隷解放宣言は奴隷制度は非人道的だから辞めろというヒューマニズムから生まれたものではない。奴隷制支持の南部を奴隷制反対の北部が打倒するという善悪二元論にすることで諸外国から南部への支援を難しくする(南部を支援すれば奴隷制を認める国というレッテルを貼られる)、解放奴隷を軍人にすることで戦力増強が図れる、という戦略的リアリズムに基づいた法案だ。

 

その証拠にリンカーンは過去に奴隷制賛成を表明しているし、実は北部の一部の州では奴隷制は維持されていた(とんでもないことだ!)。リンカーンは兎にも角にも戦争を終結させたかったわけで奴隷がどうなろうと知ったことではなかった。彼は奴隷を解放してもインディアンを大量虐殺しているし博愛主義者では全くないのだ。

 

結局のところ彼はやってのけた。冷徹なリアリズムで南北戦争を平定した。一歩間違えば現在の米国は北朝鮮と韓国のように二分されていたかもしれない。天才的妙案と言える奴隷解放宣言と北軍の最高指導者として見せた強靭なリーダーシップは超人的だ。

 

かくしてイリノイの貧農の息子は呪いともいえる一族の鬱病の遺伝子を存分に受け継ぎ、自殺未遂までした後で米国史上最高の大統領になった。

 

彼は鬱病にも関わらず成功したのだろうか?

いや違う鬱病が彼を成功させたのだ。

 

次回はウィンストン・チャーチルです。

和訳:Guns N' Roses/Nightrain

f:id:seenewworld8:20200317215311j:image

www.youtube.com

Loaded like a freight train
Flyin' like an airplane
Feelin' like a space brain
One more time tonight

貨物列車みたいに積み込んで
飛行機みたいに飛び回る
宇宙に行っちまったみたいだ
今夜をもう一度アレを

Well I'm a west coast struttin'
One bad mother
Got a rattlesnake suitcase
Under my arm
Said I'm a mean machine
Been drinkin' gasoline
And honey you can make my motor hum

俺は西海岸のぶらつき
名もなき不良
蛇柄のスーツケースを抱えて
言ったんだ 俺はガソリン飲みっぱなしのいかれたマシーン
ハニーあんたなら俺をハイにさせてくれそうだ

I got one chance left
In a nine live cat
I got a dog eat dog sly smile
I got a Molotov cocktail
With a match to go
I smoke my cigarette with style
An I can tell you honey
You can make my money tonight

俺に残されたチャンスはただひとつ
猫みたいにしぶとく
食うか食われるかでニヤリと笑って
一本のマッチで爆発しちまうモロトフカクテルも持ってきた
かっこつけて煙草を吸う
ハニーお前に言えるのは
今夜お前が金払うってこと

Wake up late
Honey put on your clothes
Take your credit card to the liquor store
That's one for you and
Two for me by tonight
I'll be loaded like a freight train
Flyin' like an aeroplane
Feelin' like a space brain
One more time tonight

遅い目覚め
ハニー服を着ろ
クレジットカードを持って酒屋に行け
あの一本はお前の二本は俺のだ
貨物列車みたいに積み込んで
飛行機みたいに飛び回る
宇宙に行っちまったみたいだ
今夜をもう一度アレを

I'm on the nightrain
Bottoms up
I'm on the nightrain
Fill my cup
I'm on the nightrain
Ready to crash and burn
I never learn
I'm on the nightrain
I love that stuff
I'm on the nightrain
I can never get enough
I'm on the nightrain
Never to return, no

ナイトレインで酔って
乾杯だ
ナイトレインで酔って
俺に酒を注げ
ナイトレインで酔って
大暴れの準備は出来てる
反省なんてまっぴらだぜ?
ナイトレインで酔って
こいつが大好きなんだ
ナイトレインで酔って
何杯でもいってやろうじゃねえか
ナイトレインで酔って
素面には戻らねえぞ

Loaded like a freight train
Flyin' like an aeroplane
Speedin' like a space brain
One more time tonight
I'm on the nightrain
And I'm lookin' for some
I'm on the nightrain
So's I can leave this slum
I'm on the nightrain
And I'm ready to crash and burn

貨物列車みたいに積み込んで
飛行機みたいに飛び回る
宇宙に行っちまったみたいだ
今夜アレをもう一度
ナイトレインで酔って
もっとあるよな?
ナイトレインで酔って
こんなスラムからも抜け出せる
ナイトレインで酔って
大暴れの準備は出来てるぜ

Nightrain
Bottoms up
I'm on the nightrain
Fill my cup
I'm on the nightrain
Whoa yeah
I'm on the nightrain
Love that stuff
I'm on the nightrain
An I can never get enough

ナイトレイン
乾杯だ
ナイトレインで酔って
俺に酒を注げ
ナイトレインで酔って
ナイトレインで酔って
大好きなんだ

ナイトレインで酔って

何杯飲んでも足りねえなあ

Ridin' the nightrain
I guess I
I guess, I guess, I guess
I never learn
On the nightrain
Float me home
Ooh I'm on the nightrain
Ridin' the nightrain
Never to return
Nightrain

ナイトレインに乗ってんだ
多分
反省なんてすることはない
ナイトレインで
家まで漂流さ
ナイトレインで酔ってんだ
ナイトレインに乗ってんだ
絶対戻らねえ
ナイトレイン

 

言わずと知れた生ける伝説、世界一スキャンダラスなバンド、ガンズアンドローゼズのデビューアルバム「Appetite for Destruction」の三曲目。イントロの機関車のホイッスルから「night train」と非常によく誤解されるが「nightrain」はワインの銘柄。当時文無しの彼らが見つけた1ドルあれば思いっきり酔える安酒ナイトレインに由来する。

真実は定かではないが当時の彼らは本当に金がなく住む家はおろかその日の食料にもありつけないような極貧状態でツアーをやっていたそうだ。この1st アルバムで彼らの人気は一気に爆発しその後世界で一億枚売り上げるモンスターバンドに成長して今に至る。

幼少期に義父にレイプされ双極性障害を患ったアクセル・ローズ(Vo.)は客をぶん殴ったり(あのトミーヒルフィガーも犠牲者)警備員に噛みついたりの暴力沙汰は日常茶飯事、デビュー契約時にも「コンタクトレンズが見つからない」という理由で予定時刻に2時間も遅刻する大物でモトリークルー、ニルバーナ、ボンジョビ等同世代のミュージシャン全員から嫌われていた問題児の中の問題児。それらを全て補って余りある歌唱力、パフォーマンスは圧巻で唯一無二。座右の銘は左腕に刻んだ「VICTORY OR DEATH」。

アフロヘアーにシルクハットがトレードマークのどっからどうみても不審者であり偉大なギタリストであるスラッシュ(Gt.)のブルージーなフレーズも魅力。彼は頭のおかしいアクセルについていけず96年に脱退するも20年後2016年に復帰を果たした。

最近ではメリッサ・リーズという可愛いだけの無名キーボディストがバンドに加わりオワコン化が危惧されているが彼らの過去の栄光は永遠に消えない。

綺麗な女ほど幸せになれないのかもしれない。

f:id:seenewworld8:20200313070853j:plain

ブラピを女が放っておく訳がない。

何故美女たちはことごとく不倫されるのだろうと考えていたらある事に気づいた。

 

美女をゲット出来るのは当然ながらモテる男だ。モテる男は無数の女から常に誘惑されることになる。モテるとはそういうことだ。モテる男は数ある選択肢の中から何とか1人の女を選別しやがて結婚する。結婚しても彼はモテることに変わりはない。モテるとはそういうことだからだ。

 

女が複数の男を同時に愛すことが出来ないのと同様に男は1人の女をずっと愛することが出来ない。それがモテない男であればそもそも女から誘われないしアタックしても成功しないから結果的に1人の女と一生を終えることになる。モテない男にはそもそも選択肢がない。

 

モテる男は常に女に狙われ、自分が望めばいつでもそれを手に入れられる環境にいる。何故なら彼はモテるからだ。綺麗な女はなるべく高収入で権力があって容姿端麗な男を探そうと試行錯誤するが残念ながらそういう男は例外なくモテる。

 

美女は何故こんなに美しい自分で満足できないのかモテ男に尋ねるが男から真実は語られることはない。お前に嫌われても代わりはいくらでもいるなんて口が裂けても言えないからだ。

 

一途に1人の女を愛することが出来るモテ男も突然変異くらいの確率でいるだろう。でもショッピングモールで使いきれないほどの金を渡された女が買い物を我慢できないように、美しい女に好意を剥き出しにされて理性を保てるのは修行僧くらいだ。アダムだって禁断の果実をイブに渡されて断れなかった。

 

こうして女はよりいい男を探そうと血眼になればなるほど最悪な男と出会うことになる。浮気されたくないならば退屈なモテない男を選ばなければならない。これは悪夢か?誰にも愛されないブスに生まれるか美人に生まれて最愛の人に裏切られるかどちらを選ぶ?

 

ブスにはブスの、美女には美女の苦悩がある。

この世界は本当によくできている。

社会のゴミカザマタカフミ

f:id:seenewworld8:20200313050720j:image

www.youtube.com

 

カザマタカフミの悪口を言っているのではない。これはカザマタカフミが自身のバンド3marketsで歌う楽曲のタイトルである。カザマタカフミは社会のゴミカザマタカフミという曲を書いて俺は社会のゴミだと絶叫する。

 

毎日新しい曲を聞く自分がここ半年くらいで出会った一番衝撃的な曲はこの社会のゴミカザマタカフミだ。高円寺のビレッジバンガードビレバンは高円寺店が一番だ!)で永遠と流されていたのがきっかけで心を奪われてしまい、それから何百回もリピートしてまだ飽きない。

 

3marketsは自分がいかに駄目な人間かを永遠と歌い続けるロックな集団である。陰キャが捻くれた世の中に正論をぶつけるメッセージ性が魅力。

 

衝撃的な曲だ。ここまで自分を貶めた曲を全世界に公開するのは並大抵の男では出来ない。この曲を発表しただけでも彼の人生には意味があったと言える。どんなうつ病患者でも自分にも一つくらい優れていることがあると思いたいと願う気持ちはあるけれどこの曲には全く救いがない。

 

あらゆる罵詈雑言を自分に浴びせるこの曲を聞いて両親や恋人は頭を抱えてしまうと思う。個人的には神聖かまってちゃんの「天使じゃ地上じゃちっそく死」以来の絶望を感じた。

 

映画ジョーカーをライムスター宇多丸が笑えないような喜劇と笑ってしまうような悲劇がくりかえされる映画と評したがこの曲もそんな感じ。初めから終わりまで一貫して暗黒だがどこか滑稽な感じもする。

 

ジョーカーが泣きながら笑っているような、詞のどの個所をピックアップしてもネガティブで暗澹としているのだけれど一方で「こいつ馬鹿でしょ」と自分で自分を見下してからかってケタケタ笑っているような感じもする。

 

カザマは漫画とゲームと猫にしか興味がない底辺根暗だが女に困ることはないというバンドマンの鑑のような人間で社会のゴミの他にも名曲を沢山作っている。そのどれもがセックスが疲れるとかからあげにレモンかけるか尋ねる女はほんと馬鹿だとか容赦なくて正しい。

 

カザマのように生きる悲しみとか苦しみを芸術に昇華して表現出来る人間を心底羨ましく思う。自分には何もない。曲も作れないし絵も描けない。ただ凄い人を凄いと誰も読まない文章を書くだけ。

 

何も生みだすことが出来ない社会のゴミはこの俺だ。

一生夏休みしてる。